王侯貴族が愛した福右衛門窯と献上伊万里焼

福右衛門窯は福山正司により1972年に佐賀県は伊万里市で福右衛門の襲名とともに再興された窯元で、先祖代々献上手古伊万里の創造に携わってきました。古伊万里の長年にわたる歴史と伝統を維持し忠実に再現をしつつ、現代に新たな名品を数多く生み出しています。

古伊万里といえば江戸時代に作られた有田焼の事を指しているのですが、染付や色絵から金欄手などの様々な技法を手作業で書き入れているという特徴があり、金彩をまじえた金襴手は明後期の嘉靖・萬暦期の製品がモデルとなっており、金で絵柄を描き、焼き付けて文様を表す豪華絢爛さの一方で緻密な作業が必要になるため、現代においては手書きではなく転写により印刷するのが一般的になっています。
たしかに転写は作品の品質を均一に保つことが出来る上に、ある程度の量産を必要とする現代の消費社会においては非常に効率のよい手法だといえますが、機械的な作業の中では人間が作り出すことにより温かみであり人間味は感じることが出来ず、これは磁器の製造だけでなくあらゆる分野においても同じことが言えます。

一方で福右衛門窯では近代的な印刷技術や、画一的な手描き手法などは一切使うことなく、脈々と当地で受け継がれてきた伝統的な手法による作品作りが行われており、それは作陶展において非常に高い評価を受けるに留まらず海外で古伊万里の講演や実演を行うなど、名実共に文化や技術の担い手として活躍しています。
この伝統的な手法では金欄手様式を総手描きで仕上げるというだけでなく、手ろくろで再現するという点にも職人魂ともいえる気概がこめられており、国内では総手書きと手ろくろで製作を行う数少ない窯元のひとつとして知られています。

福右衛門窯の作品の特徴としては、古くからの技法を守りつつ現代的であったり斬新な作風となっており、筆致は豪奢でありつつも繊細さも感じられる数多くの作品があります。
種類としてはマグカップ・蕎麦猪口・銘々皿・飯碗・フリーカップなどの生活用品をはじめ、陶額・飾絵皿・飾り花瓶なども数多くあります。

古伊万里焼 – 福右衛門窯

福右衛門窯はwikipediaにも記載されています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E4%B8%87%E9%87%8C%E7%84%BC